この課では「受身動詞」を学習します。日本人はあまり能動文を使わないことをしっかり理解してもらったうえで、たくさん練習させましょう。また「迷惑の受身」と「~てもらう」における発話者の気持ちの違いにも注目させましょう。
目次
褒めます しかります 誘います 招待します 頼みます 注意します とります 踏みます 壊します 汚します 行います 輸出します 輸入します 翻訳します 発明します 発見します 焼けます[家が]
(起こします)(設計します)(埋め立てます)(利用します)
美しい
米 麦 石油 原料 インスタントラーメン デート 泥棒 警官 世界中 ~中 ~世紀
皆様 世界遺産 金色 本物 金 ~キロ
(建築家)(科学者)(漫画)(技術)(土地)(騒音)(アクセス)
何語 誰か よかったですね。 その後 ~の一つ
(~によって)
※()内はみんなの日本語初版に入っていた単語。
アプリに関しては別記事で詳しく紹介していますので、興味のある方はぜひこちらを参考にして見てください!(→Langoal Appの使い方)
T:先生は学生を…?
S:先生は学生を褒めます。
T:学生は…?
S:学生は…
T:学生は先生に褒められます。
S:学生は先生に褒められます。
T:お父さんは子どもを…?
S:お父さんは子どもを叱ります。
T:子供は…?
S:子供はお父さんにしかれ…?
T:子供はお父さんに叱られます。
S:子供はお父さんに叱られます。
T:「褒められます」「叱られます」は新しい動詞です。「受身動詞」と言います。
T:1グループの作り方です。「叱ります」、「叱られます」。「飲みます」、「飲まれます」。「聞きます」は?
S:聞かれます?
T:そうですね。聞かれます。「買います」は?
S:買われます?
T:そうですね。買われます。Ⅰグループの作り方が分かりましたか。
S:はい。iからaそれから「れます」です。
T:いいですね!
(壊します/踏みます/取ります/頼みます/起こします/誘います/叱ります/落とします/噛みます/掃除します/呼びます/売ります/使います/行います/汚します/待ちます/選びます)
T:Ⅱグループの作り方です。「褒めます」、「褒められます」。「食べます」、「食べられます」。「捨てます」は?
S:捨てられます
T:そうですね。「見ます」は?
S:見られます
T:そうですね。Ⅱグループの作り方が分かりましたか。
S:はい。「ます」の前に「られ」です。
T:いいですね!
(着ます/建てます/間違えます/片付けます/決めます/逃げます)
T:Ⅲグループの作り方です。「します」、「されます」
S:されます
T:「来ます」「来られます」
S:来られます
うけみどうしの つくりかた
Ⅰききます → きかれます
Ⅱたべます → たべられます
Ⅲします → されます
Ⅲきます → こられます
T:受身動詞になったら、何グループになりますか。
S:Ⅱグループです。
T:そうですね。普通形にするとき、簡単ですね。
✳︎白黒版や答えが見たい方はこちらからどうぞ。
T:先生は私を褒めます。私は?
S:私は先生を褒められます。
T:私は先生に褒められます。
S:私は先生に褒められます。
<ひと>は<ひと>にV(うけみどうし)
せんせいは わたしを ほめます。
わたしは せんせいに ほめられます。
(うけみどうし)
T:どうして「先生は私を褒めます」はだめですか。
S:…。
T:私が話していますから、「私は…」で言いたいです。受身を使います。
T:母は私に買い物を頼みます。私は?
S:私は母に買い物に…?
T:私は母に買い物を頼まれます。
S:私は母に買い物を頼まれます。
T:友達は私に佐藤君を紹介します。私は?
S:私は友達に佐藤君を紹介されます。
T:いいですね。
ははは わたしに かいものを たのみます。
わたしは ははに かいものを たのまれます。 (うけみどうし)
T:どうして「母は私に買い物を頼みます」はだめですか。
S:私が話していますから、「私は…」で言いたいです。受身を使います。
T:いいですね。
*「先生は私を褒めます」と「私は先生に褒められます」や「母は私に買い物を頼みます」と「私は母に買い物を頼まれます」はどちらも同じ事実を表しますが、受身を使うことで「私」の視点で語ることができます。この説明がきちんとできていないと、せっかく練習しても使う機会がなくなってしまいます。
*さらに、日本語は主語が省略されることが多く、受身文は主語「私」が省略されても、「誰が誰に何をしたか」がすぐに理解できるとっても便利な文型なのだと学習者に説明して、頑張って使ってもらえるようにしましょう。
*母語では能動文を使う学習者だったら、受身文をいくら練習しても使えるようにならないので、少し大変ですが受身文を使う意味を教えてあげるといいと思います。
T:今日の電車です。女の人が私の足を踏みました。痛かったです。
T:女の人は私の足を踏みました。私…?
S:私の足は女の人に…?
T:私は女の人に足を踏まれました。
S:私は女の人に足を踏まれました。
T:今朝私の自転車が壊れていました。たぶん誰かが壊しました。誰かが私の自転車を壊しました。私は?
S:私は誰かに自転車を壊されました。
おんなのひとは わたしのあしを ふみました。
わたしは おんなのひとに あしを ふまれました。
だれかが わたしのじてんしゃを こわしました。
わたしは だれかに じてんしゃを こわされました。
T:「私の足は」や「私の自転車は」じゃないですね。どうしてですか。
S:私が話していますから、「私は…」で言いたいですから。
T:そうですね。それから私の気持ちはどうですか。
S:悪い気持ちです。
T:そうですね。他の人が私のものを~します。それから私は悪い気持ちです。この時受身を使います。
おんなのひとは わたしのあしを ふみました。
(わたしのもの)+わるいきもち
↓
わたしは おんなのひとに あしを ふまれました。
*「迷惑の受身」では、視点が「私」なのに加えて、迷惑だという私の気持ちを言い表すために受身文を使います。
*「迷惑の受身」のポイントは「私の所有物」+「迷惑な気持ち」です。
*ほかの人が私の所有物に対して何かをして、その結果私は迷惑だと感じたときは、能動文ではなく受身文を使います。「誰かが私の自転車を壊しました」では気持ちが含まれていないので、日本人からしたら「壊されたのに嫌な気持ちになっていないんですか」と不思議に思うことを説明できるといいと思います。
T:母が私の部屋を掃除しました。悪い気持ちです。私は…
S:私は母に部屋を掃除されました。
T:いいですね。いい気持の時は?
(少し考えさせる)
T:いい気持ちの時は「てもらいます」を使います。
T:私は母に部屋を掃除してもらいました。
S:私は母に部屋を掃除してもらいました。
ははが わたしのへやを そうじしました。
(わるいきもち)→わたしは ははに へやを そうじされました。
(いいきもち) →わたしは ははに へやを そうじしてもらいました。
T:これは何ですか。
S:東京タワーです。
T:いつできましたか。
S:1958年です。
T:1958年に東京タワーが建てられました。
S:1958年に東京タワーが建てられました。
T:誰が作りましたか。
S:わかりません。
T:そうですね。「誰が」は大切じゃないです。言わなくてもいいです。
T:これは何ですか。
S:東京ディズニーランドです。
T:いつできましたか。
S:1983年です。
T:1983年に誰かがディズニーランドを作りました。1983年に…
S:1983年にディズニーランドが作られました。
<もの/こと>が~(ら)れました
1958ねんに とうきょうタワーが たてられました。
1983ねんに とうきょうディズニーランドが つくられました。
*「だれが」はたいせつじゃないですから、いわなくてもいいです。
*<物/こと>が主語である「非情の受身」では、客観的な意味を表すため、新聞やニュース、本などでよく使われます。
*この「非情の受身」の場合は、最も話したい<物/こと>が主語になることで受身文となる。
*「最も話したい人/物/こと」が主語になることで、受身文になるのだということを学習者が理解できると、日常生活で能動文ではなく受身文を使ってくれるようになると思います。
T:浅草寺はいつ建てられましたか。
S:628年に浅草寺が建てられました。
T:628年に建てられました。
S:628年に建てられました。
T:インスタントラーメンはいつ発明されましたか。
S:1958年に発明されました。
Q, インスタントラーメンは いつ はつめいされましたか。
A, 1958ねんに はつめいされました。
*「は」と「が」
(ex)1958年にインスタントラーメンが発明されました。
(ex)インスタントラーメンは1958年に発明されました。
*能動文は「1958年に誰かがインスタントラーメンを発明しました」です。「誰か」は大切ではないので受身文にしたのが「1958年にインスタントラーメンが発明されました」。この「インスタントラーメン」を主題にしたのが「インスタントラーメンは1958年に発明されました」の文になります。
*難しいので簡単に、質問の時は「は」を使うと説明しています。
T:皆さんはお酒が好きですか。
S:はい、好きです。
T:どんなお酒が好きですか。
S:ビールです/ワインです/ウイスキーです。
T:私はワインが好きです。去年イタリアでワインを作りました。(写真)
T:ワインはぶどうから作られています。
S:ワインはぶどうから作られています。
T:夏はビールもいいですね。ビールは何から作られていますか。
S:麦です。
T:ビールは麦から作られています。
S:ビールは麦から作られています。
T:ここはどこですか。
S:白川郷です。
T:(外側を見せて)木です。(中を見せて)木です。
S:白川郷は木で作られています。
T:この袋は何で作られていますか。
S:この袋は紙で作られています。
ビールは むぎから つくられています。
しらかわごうは きで つくられています。
T:「から」と「で」何が違いますか。
(少し考えさせる)
T:「から」は見てわかりません。「で」は見てわかります。
T:みなさん漢字は難しいですか。
S1:はい、難しいです。
S2:いいえ、簡単です。
T:S2さんは中国人ですから簡単ですね。日本人や中国人が漢字を使います。漢字は日本や中国で使われています。
S:漢字は日本や中国で使われています。
T:みなさんは英語が話せますか。
S:はい、話せます。
T:世界中の人が英語を話しますね。英語は世界中の人に話されています。
S:英語は世界中の人に話されています。
T:皆さんはコーヒーが好きですか。
S:はい、好きです。
T:私も好きですから毎日飲みます。コーヒーは日本で作ることができません。どの国から輸入していますか。
S:ブラジル?ベトナム?コロンビア?
T:ブラジルやベトナムからコーヒーを輸入しています。コーヒーはブラジルやベトナムから輸入されています。
にほんやちゅうごくで かんじを つかっています。
かんじは にほんやちゅうごくで つかわれています。
せかいじゅうのひとが えいごを はなしています。
えいごは せかいじゅうのひとに はなされています。
ブラジルやベトナムから コーヒーを ゆにゅうしています。
コーヒーは ブラジルやベトナムから ゆにゅうされています。
*最も言いたいことを先頭に持って来る。
宿題では下記の3冊をレベルや目的、やる気に応じて使い分けています。どのように使い分けているかはこちらから
(⇒【初級日本語】授業の流れ)